11月29日、看看連携しまだ 主催の「看護つなぎ隊研修会」および「第3回ACP普及啓発セミナー」において、当社リハライフサポートの小原が講師を務めました。
今回のテーマは 「“早く死にたい”と言っていた父を変えたもの」。
家族として向き合った葛藤や気づきを交えながら、ACP(アドバンス・ケア・プランニング)の本質と価値をお伝えしました。

■ ACPとは、“人生をどんなふうに生き切りたいか”を語る時間
ACP(Advance Care Planning)は、
「もしものとき」の医療やケアをどうしたいかだけでなく、
自分がどんな価値観を大事に生きてきたのか、これからどう生きたいのか
を本人・家族・医療介護職が話し合い、共有するプロセスです。

日本では「人生会議」と呼ばれ、
今、地域包括ケアの中核として重要視されています。
高齢化が進む今、
“人生の最終段階”の話は避けられがちですが、
ACPは決して暗いテーマではありません。
むしろ、
「今をどう生きるかを考える、前向きな時間」
なのです。
【参考】厚生労働省HPリンク:人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)してみませんか?https://www.mhlw.go.jp/stf/web_magazine/closeup/23.html
■ 家族の実体験から見えた、対話の重要性
小原が講演で語ったのは、実父が「早く死にたい」と口にしていた頃のこと。
家族としてどう声をかければいいか分からず、
ともすると「励ます」ことばかりに気を取られてしまった時期もあったといいます。
しかし、
・本人の想いを否定しない
・不安や恐怖を言葉にしてもらう
・人生ノートに自分の気持ちを整理して書き出す
というプロセスを重ねるうちに、
父の言葉や行動に少しずつ変化が現れました。

ACPの本質とは、
人が“自分の人生を自分で選び取っている”と感じられるように支えること。
それは、家族だからこそ難しく、家族だからこそ寄り添える部分でもあります。
■ 価値観を可視化する414カードと人生ノート
研修では参加者全員が 414カード というツールを使い、
自分自身が大切にしている価値観を言語化しました。
「健康」
「家族」
「自由」
「人の役に立つこと」
——
これらの価値観が整理されると、
人生ノートに想いを書くことが自然とできるようになります。
こうしたツールは、ACPの敷居を下げ、
話し合いを“やさしく始められる”きっかけになります。

■ 参加者の言葉に寄り添う、温かな一場面
研修中、参加した89歳の市民の方が
「これから誰かの役に立つなんて考えられない」
とつぶやいた瞬間がありました。
その言葉に対し、看護師が
「今ここに元気に参加してくださっていること自体が、誰かの支えになるんですよ」
と優しく返した場面が、会場に温かさを広げました。
病院や介護施設ではなく、
地域の“日常の場”だからこそ生まれる自然な対話。
そこには、
ACPの本来の姿——その人らしさに基づく意思決定支援
が表れていました。
■ 地域に“人生会議”を根づかせるために
リハライフサポートでは、今回の研修スタイルを自社に留めず、
地域全体へ広げていきたいと考えています。
ACPは特別な人のためのものではなく、
誰もが“よりよく生きるため”に必要なプロセスです。
私たちの理念、
「健康幸福寿命の環を広げる街創り」
の実現に向け、
人生会議が当たり前に語られる地域づくりを進めてまいります。


