11月22日、地域リハビリテーション推進員向け研修会にて、リハライフサポート副社長・小原が講師を務めました。今回のテーマは 「介護保険サービスに頼りすぎない支援設計」。制度改正を踏まえつつ、これからの地域支援に必要な視点を参加者の皆さまと共に深める研修となりました。

◆ なぜ今「サービスに頼りすぎない支援」が必要なのか
日本は、厚生労働省が「諸外国に例をみないスピードで高齢化が進行している」と示すほど急速に高齢化が進んでいます。2040年前後には団塊ジュニア世代が高齢期を迎え、介護・医療の需要は一段と増加すると公的資料でも明らかにされています。
こうした背景から国は、「地域包括ケアシステム」の構築を進めています。これは
医療・介護・予防・住まい・生活支援を地域で一体的に支える仕組み
であり、高齢者が住み慣れた地域で自立して生活し続けられるようにすることを目的としています。
また国の審議会では、人口減少と財源の制約から、これまでのように「介護保険サービスの拡大だけで支える」ことは難しいと示されており、
- 自助(本人の力)
- 互助(地域・住民の支え合い)
- 共助(介護保険)
- 公助(行政)
これら 4つの助のバランス が不可欠とされています。

つまり、国の方向性そのものが
“サービスに依存する支援から、地域と本人の力を生かす支援へ”
とシフトしており、今回の研修テーマはまさにこの流れを反映した内容となっています。
◆ これからの支援に求められるポイント
公的資料では、今後の地域支援として次のような視点が重要とされています
① 介護予防・生活支援の強化
要支援者向けのサービス見直しや、生活支援体制整備事業など、制度そのものが「生活の中で自立を守る仕組み」へシフトしています。
② 多職種・住民・行政の協働
地域包括ケアは 「専門職だけではつくれない」 と明記されており、住民主体活動の推進や行政との連携が不可欠です。
③ 本人中心の支援設計
国は「本人の望む暮らし」を軸に支援を組み立てることを重視しており、サービス量ではなく「生活の質」に焦点を当てる方向性が示されています。
こうした政策の転換が、今回の「サービスに頼りすぎない支援設計」が重要視される背景となっています。
◆ 研修当日の様子

研修の冒頭では、介護予防に関するクイズに挑戦しました。
「世界で最も平均寿命が長い国は?」「静岡県の健康寿命は世界一位と比べて長い?」など、身近でありながら意外と答えに迷う内容に会場は大盛り上がり。白熱の結果、30名中、最後まで残ったのは1名のみ という盛り上がりでした。
その後は、実際の事例を用いながら、
- サービスに頼りすぎない支援とは何か
- 本人の力や地域資源をどう引き出すか
- 制度改正を踏まえた実践の方向性
について、参加者同士が学び合う有意義な時間となりました。
◆ 参加者の声
研修後のアンケートでは、
- 「要支援者向けサービスが変わっていく流れを再認識できた」
- 「明日からの支援にすぐ活かせる内容だった」
といった前向きな感想が多く寄せられました。
今回はリハ職の皆さまを中心に、県および4市の行政職の方々にもご参加いただき、
自治体と専門職が連携して地域づくりを進める機運が強まっていることを実感できる研修
となりました。
◆ 今後の展望 – リハライフサポートとして
「サービスに頼りすぎない支援」は、決して“サービスを減らす”という意味ではなく、
“自立を支える関わり方を再設計すること” を意味しています。

リハライフサポートでは今後も、
- 地域リハ推進員の活用支援
- 行政・事業所との協働体制の構築
- 介護予防・生活支援への伴走支援
- 本人中心の支援設計と実践サポート
- 地域包括ケアの推進に向けた研修・人材育成
など、地域の未来を見据えた取り組みを続けていきます。
高齢者が「サービスに依存しなくても、地域の中で自分らしく暮らし続けられる社会」をめざして。
これからも地域のみなさまと共に歩んでまいります。


